臨床研究(clinical research)とは、一般化できる知識の開発、あるいは知識への貢献のためにデザインされた人の健康や疾病に関する体系的な研究活動である。より狭義な意味を有する臨床試験(clinical trial)の目的は、仮説を検証し、一般化可能な結論づけを可能にする活動を通じて、人の健康と疾病を理解するために、そして疾病を予防・診断・治療するための安全かつ効果的な介入を開発することにより、医療や公衆衛生の改善に役立つ知識を集めることとされている。
つまり、臨床研究や臨床試験は集団の利益に貢献する活動であり、臨床研究・臨床試験に参加している個々の研究対象者は、参加することで便益(benefit)を得られることもあるし、得られないこともある。一方、診療(clinical practice)は、医師の判断により患者個々の病状に応じて検査や治療を行い、患者個々の便益の最大化を図るものである。それぞれの目的、方法などにおいて相互排他的ではないが、その性質は全く異なっているといっていい。
創薬などの開発研究ではPhaseⅠ〜Ⅳなどと称される臨床試験が行われることがほとんどである。観察研究ではコホート研究、ケースコントロール研究、断面研究、さらには前向きや後向きなどといった用語があり、混乱してしまうこともある。これらについては、機会がある時特徴を整理したい。
◯参考
米国のCommon ruleでは研究について定義されているが、日本には明確な定義がない。
"Research" means a systematic investigation, including research development, testing, and evaluation, designed to develop or contribute to generalizable knowledge.
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