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Journal Club _Hernia

公開·4名のメンバー



Heavyweight Mesh Is Superior to Lightweight Mesh in Laparo-endoscopic Inguinal Hernia Repair

A Meta-analysis and Trial Sequential Analysis of Randomized Controlled Trials

Wouter J. Bakker, MD et al

Hernia Clinic, Department of Surgery, Diakonessenhuis, Zeist, Utrecht, the Netherlands

Ann Surg 2021;273:890–899

Objectives

腹腔下鼠径ヘルニア修復術(TAPP or TEP)におけるLight weight mesh(LWM)またはHeavy weight mest(HWM)の使用について、RCTおよび推奨事項の最新情報を提供すること。


Background

LWMは、異物感や慢性疼痛を軽減する可能性がある。しかし、腹腔鏡下手術ではこれらはすでに稀であり、LWMは再発率が高くなることが懸念される。


Research questionの構造化

Ho: 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術において、LWMとHWMで再発率に差はない。

P: 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を受ける患者

E: Light weight mesh(50g/m2)

C: Heavy weight mesh(>70g/m2)

O: 再発率、慢性疼痛、異物感

M: Meta-analysis


Methods

Study Selection

  • 嵌頓や絞扼のない鼠径ヘルニアにおいて、LWM vs HWMを比較したRCTが対象

  • EMBASE, MEDLINE, Cochrane Librayが対象


Results

・12のRCTが含まれ、2909人の患者(LWM1490人 vsHWM1419人)が対象。

・観察期間は3-60カ月。

・LWMは再発リスクを増加(LWM 32/1571, HWM 13/1508; RR 2.21; CI 1.14-4.31)、特に非固定式メッシュを用いた直接鼠径ヘルニア(LWM 13/180, HWM 1/171; RR 7.27; CI 1.33-39.73)および大きなヘルニアでは再発リスクが増加。

・痛みの有無(LWM 123/1362、HWM 127/1277、RR 0.79、CI 0.52-1.20)、強い痛み(LWM 3/1226、HWM 9/1079、RR 0.38、CI 0.11-1.35)、異物感(LWM 100/1074、HWM 103/913、RR 0.94、CI 0.73-1.20)に関しては差がなかった。




Conclusion

鼠径ヘルニアの再発率を減少させるために、直接または大きな鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術にはHWMを使用すべきである。


私見

今更LWM vs HWMの論争?というふうに最初感じましたが、自分が無知であっただけで、特にTAPPやTEPを対象としては、LWM vs HWMに関しては結論が出ていないようです(勝手にLWMなのかと思っていました。)。さらに普段使用していなかったHWMの方に軍配が上がっており驚きの結果でした。


FINERに沿ってRQを評価

Noveltyには、過去のバイアスのかかったメタアナリシスに対し、それらを補正したメタアナリシスを発表することでしょうか。

(臨床に最も大きな影響を与えたとされるTULP trialではデータ抽出の方法が不正確で、異なる評価者で異なる結果が出たようです。)

Feasiblityとしては、対象となった研究の人種に関する検討はなく、日本人への応用には注意が必要かと思います。

Relevantとしては、メッシュの変更に関する合併症の有無やコストの影響でしょうか。


Methodsに関して

・Primary outcomeはrecurrenceのHardかつTrue outcome

・再発をアウトカムとしているのは、対象となっているRCTが設定しているアウトカムに影響されている可能性あり。

・研究デザインは再発をアウトカムとしており、systematic review/meta-analysisは最も信頼性の高いデザインと言えると思います。

・プロトコルは事前に登録

・スクリーニングは2名のreviewer

・再現できるレベルでのスクリーニング方法の提示

・Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionでここの研究のバイアスを評価

・GRADEシステムでの評価


上記の通り、Reporting guidelineを意識した、非常に丁寧な論文という印象を受けました。また腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術におけるメッシュの選択は、もしかすると国内のエキスパートオピニオンを踏襲したものである可能性もあり、非常に重要な論文であると考えられます。自分自身はTAPPの際、メッシュは15×10cmのmedium weight meshを使用していました。確かに、大きな内鼠径ヘルニア(ヘルニア門3cm以上)などでは、再発予防のための特別な注意があるように思い15×12cmにトリミングして使用していました。

時にLWMを使うこともあり、確かに手術中はメッシュも柔らかく異物感は少なさそうな印象を受けましたが、実際にその後の外来などでフォローアップする際は異物感が少ない印象も全くありませんでした。

コラーゲンの違いなど、人種による差も考慮する必要があり、国内での臨床応用には注意が必要かと思われますが、いずれにせよHWMの使用に関して、今後の動向に注目が必要ですね。


External Links

TULP trial https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26779980/


MetaData

Summary author: Takuto Yoshida

Summary data: 13th July 2021

Peer-review editor: Yusuke Watanabe

Picture by: Pixabay

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