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Journal Club _Hernia

公開·4名のメンバー

Robotic Versus Laparoscopic Ventral Hernia Repair

One-year Results From a Prospective, Multicenter, Blinded Randomized Controlled Trial

Naila H. Dhanani, MD

Department of Surgery, McGovern Medical School at UTHealth, Houston, Texas

Annals of Surgery Volume 273, Number 6, June 2021


Objective

ロボット支援下腹壁ヘルニア修復術(RVHR)と腹腔鏡下腹壁ヘルニア修復術(LVHR)の術後1年目の臨床的アウトカムおよびPatient reported outcomeを比較することである。


Background

著者らは以前,RVHRとLVHRを比較したRCTの短期結果を報告し,臨床結果に明確な差はなかったが,ロボット修復により手術時間と費用が増加した。一方、RVHRは近年急速に普及している。


RQの構造化

Ho: 腹壁ヘルニアに対し、ロボット手術と腹腔鏡手術で短期の臨床アウトカムやPatient reported outcomeに差はない。

P:横経12cm以下でpneumoperitoneumに耐えられる患者

(除外基準)2年以内に死亡した症例、英語・スペイン語どちらも喋れない人、フォローが途切れた人

E:RVHR群

C:LVHR群

O:SSI, SSO(漿液腫など)、再発、再入院、再手術、patient reported outcome(functional, 痛み)

M:盲検化RCT


Methods

・コンピュータで作成された可変ブロックにより、外科医によって層別された1:1の比率で無作為に割り付け

・治療法の割り振りは、連番の入った不透明な封印された封筒を開けて決定された。

・治療の割り振りを決定した手術担当医と研究コーディネーターは、介入の性質上、盲検化できなかった。

・患者と術後の評価者は、患者の割り当てグループについては盲検化された。

・術式はIPOM-plus、メッシュの固定はRVHRでは吸収糸連続で、LVHRではTacking(double crown)+4 transfascial suture

・patient reported outcomeはヘルニア診療に特化したmodified Activites Assessment Scaleを使用(12の質問から構成)。そのほか疼痛や満足度も調査


Results

・合計124名の患者が無作為に割り付けられ、113名の患者(91%;ロボット手術60名、腹腔鏡手術53名)が1年間の追跡調査を完了。

・患者背景はRVHR群でIncisional herniaが多く、LVHR群でRecurrent herniaが多かった。

・創部の合併症(15% vs 15%,P=0.899),ヘルニアの再発(7% vs 9%,P=0.576),再入院(2% vs 6%,P=0.251)には差が見られなかった。

・RVHR群では再手術を受けた患者はいなかったが、LVHR群では5例(9%)が再手術を受けた(P=0.020)。

・再発の5例の内訳(2例 seroma excision, 1例 腹壁の膿瘍ドレナージ、1例 ヘルニア再発、1例 慢性疼痛)

・Patient reported outcomeの結果には差が見られなかった。両群とも、術後1年目には、機能、痛み、満足度において、臨床的に有意な改善が認められた。


Limitation

サンプルサイズ不足(当初入院期間をPrimary outcomeとして設定していた)

熟練した外科医を対象としており、初学者には当てはまらない。

より大きな欠損には当てはまらない可能性

術式がIPOM (plus)


Conclusion

ロボットによる腹腔ヘルニア修復術が腹腔鏡と比較して安全であることが確認された。これらの知見を確認するためには、さらなる研究が必要である。


FINERによるRQの評価

F: ロボットヘルニアの保健収載がまだなので、実現可能性は今の段階では低い

I/N: 新規性はあるようなないような・・・。blindのRCTではある。

E: ロボットかラパロかを患者はblindされている。

R: ロボット診療を進める一助になるか。


私見

米国からの報告です。ロボットとラパロを比較したという点でAnnalsに載ってるのでしょうか。国内でもeTEP徐々に認知されつつある印象ですが、米国でもまだ腹壁ヘルニアに対するeTEPは全体の10-20%程度のようです。この論文でも、術式はIPOMを対象としており、そこはちょっと残念かなと思いました。結論も大方の予想通り、大した差はなくロボットは時間と費用がかかること、ただタッキングなどは減らせるので慢性疼痛などは少ない可能性や再手術の少ない可能性は示唆されますが、そもそもそこをPrimary outcomeとしていないのでわかりませんということでした。ただ、肥満大国の米国では、特殊な医療制度の中でコストが許されるならロボットで手術した方が何倍も楽だろうなと思いますし(普通の鼠径ヘルニアの手術でも大変そう)、技術革新のスピードを考えるとロボットの流れは止まらないと感じます。


MetaData

Summary author: Takuto Yoshida

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