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Journal Club_Biliary System

公開·4名のメンバー

Kz Umemoto

2021年9月


A Study on Radial Margin Status in Resected Perihilar Cholangiocarcinoma

Annals of Surgery. 273(3):572-578, March 2021.

Shinohara, Kentaro MD

Division of Surgical Oncology, Department of Surgery, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan


Background

肝門部領域胆管癌(PHCC)は難治癌の一つである。化学療法の感受性が低く、治療のゴールドスタンダードは手術、特にR0切除である。surgical maginにはductal mrgin (DM)、radial margin (RM)が含まれ、区別して考える必要がある。これまで肝外胆管癌のDMに関する報告はあるものの、PHCCのRMステータスに関する報告はないため未知である。


Objectives

PHCC切除患者を対象にRM statusと生存の関係を調べる。


P: 2001/1から2014/12の期間、名古屋大学第一外科で根治的切除を施行したPHCC患者連続576例。

E: R0切除となった患者

C: R1切除 (DM1, RM1)となった患者

O: OS

M: 単施設後ろ向き


Results

①患者・術式:

対象期間内に576人の患者に肝切除+肝外胆管切除をおこなった。pM1 (n=78), R2 resection (n=8), 在院死 (n=12)を除いた478人を対象に検討した。64%が男性、年齢67歳 (34-85)。術式は、多い順に右葉尾状葉 (33.7%)、左葉尾状葉 (32.0%)、左三区域 (25.9%)、右三区域 (6.5%)、中央二区域 (1.3%)、そのほか肝切除 (0.6%)。HPDは61例に実施。

②margin status:

85例 (17.8%)がR1切除となっており、37人がRM1, 33人がDM1, 15人がRM1かつDM1であった。RM1とRM0を比較すると、pT3/4 stage, N+, Ly+, V+, Pn+が有意にpRM1群に多かった。

③RM positiveとなった箇所:

肝切離面が20人、肝十二指腸間膜切離面(scheltonizeした脈管剥離面を含んだ表現と思います。)が32人。

④術式とRM statusの関係:

左葉切除が有意にRM1が多い (左葉vsその他 17.7%vs7.6%)。左葉切除はその他に対し有意に肝切離面陽性が多い (9.2%vs1.9%)。一方、肝十二指腸間膜陽性例は左側肝切除に多い (左葉+左三区vs右葉+右三区, 8.7%vs3.6%)。

⑤生存解析:

フォローアップは9.4年。3年生存率58.1%, 5年生存率44.1%。MST 3.9年。RM1はR0と比較して予後不良 (MST2.1vs4.9年, HR2.06)。RM1はDM1(かつRM0)と比較して予後に差なし (MST2.1vs2.1年)。RM1単独, DM1単独, RM1かつDM1の予後も同等。術式ごとで予後比較すると、術式間で統計的差異なし (MST右葉4.8年、左葉3.8年、右三区3.3年、左三区3.0年)。

Limitation

単施設後ろ向き研究。検体取り扱い、切り出しの際に“真の”断端評価がunderestimateとなっている可能性。


Conclusion

RM1はDM1と同等の予後因子である。そのため検体の適切な取り扱い、評価が重要である。R0切除を達成するために、必要であれば積極的に血管合併切除、3区域切除の適応を考慮すべきである。


私見

肝門部領域胆管癌手術例のマージンに関する研究です。恥ずかしながら、RM1はDM1と同等だということが既知だと考えていましたが、研究・報告されていないということ自体にまず驚きました。ここまで細かく標本切り出しを行って解析し、母集団も大きい研究は真似できないものだと思います。

RMも含めてR0切除の達成が肝門部領域胆管癌において重要であることが強調されています。肝切離面だけでなく、scheltonizeして郭清した肝十二指腸間幕の断端評価は非常に難しいですが、臨床的にも重要であることがよく分かりました。肝門部胆管癌の切り出しはすごく時間がかかりますが…細かく切る重要性を感じました。術式間で成績の差異は統計上出ませんでした(傾向はあるようにも見える)が、margin statusを考えると、やはり「右取り」が基本なのでしょうか?残肝機能と侵襲度・根治性のバランスの問題において、課題の多い疾患だと改めて思いました。

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