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Journal Club_Biliary System

公開·4名のメンバー

Sho Sekiya

2021年12月


Perihilar Cholangiocarcinoma - Novel Benchmark Values for Surgical and Oncological Outcomes From 24 Expert Centers

M Mueller, Takehiro Noji, Satoshi Hirano et al.

Multicenter study including Department of Gastroenterological surgery II, Hokkaido University Hospital

Ann Surg. 2021 Nov 1;274(5):780-788.


Background:肝門部胆管癌(PHC)に対する肝切除は最も高難度の手術の一つで、その術後死亡率は15%以上とも言われる一方、成績の良い施設では死亡率3%未満との報告もある。右葉切除と左葉切除の比較、門脈予防的切除の有用性などは交絡因子も多く、結論が出ていない。


Objectives:PHCにおける世界のhigh volume centerの手術成績を検討して現状を明らかにし、今後の治療方針を決定する上でのbenchmarkingを行うこと。


Methods

・世界の24施設を抽出:5年間で年間10例以上、合計50例以上が条件

・2014年から2018年までの5年間、転移のないPHCに対してmajor hepatectomy施行例

・肝移植、中央切除、PD、血管合併切除は除外。予防的PV合併切除は除外せず検討。

・benchmark studyは低リスク症例で検討。つまり重症併存症(ASA III以上、肥満、慢性心/呼吸器/腎疾患、DM/抗凝固薬)は除外

・21の検討項目:項目に応じて退院時、術3ヶ月後、12ヶ月後の時点で検討。合併症はCD分類とCCI (comprehensive complication index)に準じ、胆汁瘻と術後肝不全(PHLF)はISGLSに準ずる。

・validationとして、①肥満症例(BMI>35)やASA III以上の心疾患症例、②5年間で50例に届かない6施設、の2つのコホートで検討を行った。

・統計解析手法に特殊なものはありません。


Results

<患者背景>

・24施設において、5年間で1829例がPHCに対して肝切除を施行され、うち708例(39%)がbenchmark症例(低リスク)であった。施設ごとのbenchmark症例の割合は9-78%

・フォローアップ期間の中央値は25ヶ月(IQR 13-39ヶ月)で最低1年間はフォロー

・Bismuth分類:type I (6.2%), type II (12.6%), type IIIa (28.0%), type IIIb (26.7%), type IV (24.7%)

<手術関連項目>

・52%が右葉または右3区域切除、切除時のFLR中央値は45% (IQR 38-65%)、1/3 (N=221)がPVEを施行。

・中央値で手術時間7.3h (5.8-8.8h)、出血量800mL (500-1317mL)、83%がCUSAを使用、3/4 (N=538)が尾状葉切除、R0率は71% (N=502)だった

<術後成績>

・中央値で術後入院期間17日、ICU滞在1日。術後合併症率は80.5%、CD IIIa以上の重症合併症は58.1%、在院・3ヶ月の死亡率はそれぞれ4.7%、7%だった。

・術後胆汁瘻発症率は吻合部で18.4%、切離面で15.3%、grade B/CのPHLFは17.9%、再入院14.4%、再開腹9%だった。

・OSの中央値は56ヶ月(95% CI 47-65)、DFS 27ヶ月(24-30)、術後1, 3, 5年の生存率は85.1%, 60.7%, 47.3%だった。

<Benchmark Values>

・各検討項目における各施設の中央値を並べ、75th percentileをcut offとすると(つまり3/4の施設が満たす基準のライン)、在院死≦8%、3ヶ月死亡率≦13%、1/3/5年生存率≧77.5%/48.4%/39.7%、1年DFS≧33.3%、手術時間≦8h、出血≦1100mL、ICU滞在≦2日、入院期間≦19日、3ヶ月以内の全ての合併症≦87%、CD IIIa以上≦70%、PHLF (ISGLS B/C)≦22.5%、胆汁瘻≦47%だった。

<施設の違い>

複雑症例(non-benchmark症例)が60%以上を占める施設は40%以下の施設と比較してPHLF gradeCが少なく(4.1 vs 13.3%, P=0.02)、在院死亡率が低かった(3.8 vs 9.4%)。困難症例の割合と在院・3ヶ月後の死亡率には有意な相関を認めた(それぞれR=0.66, R=0.58)。

<地域の違い>

アジアの施設はアジア以外の施設と比較してOSが良く(HR 1.64)、肝不全が少なく(1.7 vs 7.7%)、在院死亡率が低かった(2.0 vs 5.9%)。アジアでは特に右葉切除において、術前PVEの頻度、FLRの増大率が高く、さらにICGなどの肝機能評価を必ず施行していた。アジアはBMIが低く、stageも低かったが、BMIは両群を揃えてもアジアの成績が良かった。アジアの方が手術時間が長く(498 vs 398min)、郭清リンパ節個数が多かった(8.3 vs 5.7 LN)が、出血、R0率、胆汁瘻に有意差はなかった。

<手術手技>

・右葉切除と比較し、左葉切除の方がOSが長かった(中央値 45 vs 61ヶ月, P=0.002)が、DFSは同等だった。右葉切除の方が在院死亡率が高く(7.3 vs 1.8%)、術後肝不全率も高かった(24.2 vs 11.2%)。この要因として術前sFLRが41 vs 61%と大きく異なっていた。左葉切除でR0率は下がらなかった。

・予防的門脈合併切除(non-touch approach)は3ヶ月死亡率が3倍以上に増え(26.6 vs 7.6%)、術後肝不全率が2倍以上に増加し(46.9 vs 19.4%)、合併症率、腫瘍学的予後の面からも大きく劣ることとなった。(discussionで“should be abandoned”とはっきり述べられています。)

<Validation>

・6つのlow-volume centersの成績をhigh-volumeの24施設と比較(Methodsの②)しても1年生存率、症例数と死亡率の相関、在院死に有意差を認めなかった。

・non-benchmark症例(Methodsの①)においては在院死17.4% (vs 8%)、PHLF gradeC 15.2% (vs 10%)、再開腹21.7% (vs 19%)、1年生存率64.1% (vs 77%)と、benchmark valueが当てはまらず、成績が悪かった。

・75歳以上の高齢症例は50歳未満と比較し術後成績で有意差を認めなかった。


Conclusion:本論文は21のbenchmark valueを示しており、PHCに対する治療の手術成績と予後の比較を可能としている。

全体として困難症例の経験と知識は良好な転帰と相関し、これは症例数よりも重要である可能性がある。


Discussions

<FINERに沿ったRQの評価>

PHCに対する肝切除のベンチマークスタディは初であり、現状を把握する上で重要な文献であると思います。右vs左や、予防的PV切除などのclinically relevantな問題にある程度説得力のある解答を示しています。


<私見>

2021年11月号より、肝門部胆管癌のベンチマークスタディです。ひたすら結果を羅列するような形式で申し訳ありません。ただ、現状をザッと把握するにはとても良い文献だと思います。

興味深かったのは、アジア、特に日本の成績が良いことについて、術前のICG評価、PVEによる容積増大、緻密な手術操作(手術時間が長く、郭清リンパ節が多いなど)などを要因に分析している点。また、困難症例をより多く経験している施設ほど手術成績が良く、それは外科医の腕前のみならず麻酔科やco-medicalの成熟も関与していると述べられていた点などです。困難症例に立ち向かうモチベーションになりますね。

limitationとしては患者背景や施設間の手術手技、術後管理にかなりばらつきが予想されることでしょうか。pt. characteristicsも24施設まとめたものしか掲載されていないので、施設間の違いが考察できたら面白いのですが、このボリュームでは難しいですね。

今後胆管癌についても化学療法が進むと思いますので、その場合には低侵襲でPHLFが少ない左葉切除がより優位になっていくのかなと推測しましたが、ご意見いかがでしょうか。

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