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Masakazu Fujii


Preoperative Risk Assessment for Loss of Independence Following Hepatic Resection in Elderly Patients: A Prospective Multicenter Study

田中肖吾先生(大阪市立大学)

Ann Surg. 2021 Sep 1;274(3):e253-e261.関西の9つの大学病院からの報告です。高齢者の外科治療については個人的にとても関心があるので興味深い内容でした。調査内容や解析も取り組みやすそうでした。観察期間の前半と後半でstudy groupとvalidation groupを分けるという方法も参考になりました。厚労省から助成の出ている研究ということも記載してあり、社会が求めている研究というのはこういうことでしょうか、(それとも厚労省のフレイル基準を使っているからでしょうか、)とも思った次第です。以下内容です。<Abstract>

Objective:肝切除後の自立度低下に対する術前リスク評価法を確立すること。

Summary of background data:肝切除は、術前の自立した高齢者において、しばしば自立性を下げることがある。そのため、高齢者の手術適応は慎重に選択する必要がある。

Methods:この前向き多施設研究では、肝切除が予定されている65歳以上の自立生活者347例をstudy group(n=232)とvalidation group(n=115)に分けた。study groupで術後自立度低下の危険因子を検討し,validation groupで検証を行った。自立度の低下は、リハビリテーション施設への転院、在宅医療を伴う住居への退院、機能低下による30日以内の再入院、90日以内の死亡(がん関連死を除く)と定義した。

Results:単変量解析および多変量解析により,frailty,76歳以上,開腹手術は術後自立度低下の独立した危険因子であることが示された.study groupおよびvalidation groupにおける術後自立度低下患者の割合は,危険因子非該当でそれぞれ3.0%と0%,危険因子1つで8.1%と12.5%,危険因子2つで25.5%と25.0%,3つすべて該当で56.3%と50.0%となった(いずれもP < 0.001 程度).試験群および検証群のROC曲線下領域は、それぞれ0.777および0.783であった。

Conclusions:高齢者における肝切除後の自立度低下を予測・計画する上で,これら3つの因子を用いた術前リスク評価は有効であると思われる.<内容抜粋>

・2016-2018年間に症例データを多施設で前向きに収集。2016-2017年をstudy group(232人)、2018年をvalidation group(115人)とした。

・Frailtyの評価は(いろいろあると思いますが)、厚生労働省作成のKihon checklistを用いた。

・study群とvalidation群間に患者背景・手術成績の各項目で有意差なし。術前からfrailと評価される人は両群約28%。術後の「自立度の低下」に当てはまって患者は両群約14%で有意差なし。

・study群の単/多変量解析で抽出された術後「自立度の低下」に関する独立因子はfrailty,76歳以上,開腹手術。3項目各1ポイントずつつけると、0-3点のスコアシステムができる。各点数における「自立度の低下」の発生率はabstractの通り。3点だとおよそ半分の症例で「自立度の低下」が発生。反対に0ポイントの場合は0-3%。

・Kihon checklistは質問形式なので(握力や歩行速度を測る必要がなく)簡便。

・高リスク患者には早期から術後生活環境に関するサポートが必要となるだろう。<limitation>

・多施設前向き研究だが、validation群の患者数がやや少ない(具体的な目標症例は不明)

・Kihon checklistは日本人向けにアレンジされたものなので他国で当てはまるかどうかは検証が必要(元はカナダで作られた)。*既にこのKihon checklistは既にオーストラリア、韓国、スペインなどでそれぞれの国の言葉に訳されて使われているようです。<私見>

・個人的にはCQが日本の臨床現場に即した内容で、結果がシンプル(年齢、frail、開腹がリスク)、非常に面白い研究でした。同様の研究が他の術式にも広がっていくのでしょうか。個人的にはfrailtyを術前にあまり評価したことがないので、今後気にしてみようと思います。

・一方でAnnalsに載った理由はどこにあるのか。全体にシンプルで、n数も多くはないと思います(前向き多施設研究ではあっても)。Kihon checklistもまだ「日本の」という域を出ていないようですし。高齢者に関する外科治療をどうしていくかというテーマが、思っている以上に業界で興味をもたれているのでしょうか。私は日本の先生の論文を読むことが多いのですが。励みになります。以上2月分ということで、遅くなってすいませんでした。

ところで、関西はこういう研究のときに他の地域と比べて大学間で仲良しで(?)、勢いがある気がするのは私だけですか?

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