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Journal Club_Pancreas

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Mamoru Miyasaka


Early Drain Removal is Safe in Patients With Low or Intermediate Risk of Pancreatic Fistula After Pancreaticoduodenectomy: A Multicenter, Randomized Controlled Trial

Ann Surg. 2022 Feb 1;275(2):e307-e314.

Dai M, et al.

1. Department of General Surgery, State Key Laboratory of Complex Severe and Rare Diseases, Peking Union Medical College Hospital, Peking Union Medical College, Chinese Academy of Medical Sciences, Beijing 100730, PR China.Background:膵頭十二指腸切除(PD)における早期ドレーン抜去(EDR)の安全性・術後合併症に対する効果についてはまだ議論がある。

Ho:術後膵液瘻(POPF)のリスクが低~中程度のPD患者に対するEDRは、ルーチンのドレーン抜去(RDR)に比してClavien-Dindo grade 2~4の合併症率を低下させない。

P:中国の6つの三次紹介病院(年間40例以上のPDを実施。年間20例以上を執刀しているエキスパートが施行)におけるPOPFリスクが低~中等度のPD患者が対象。

E:POD3にすべてのドレーンを抜去(EDR群)。

C:POD5以降にドレーンを抜去(RDR群)。

O

Primary Outcome―Clavien-Dindo grade 2~4の発生率。

Secondary Outcome―術後90日以内の合併症指数、grade B/CのPOPF、総医療費、術後在院日数等

M

2017年2月~2020年10月に上記施設でRCTを施行。サンプルサイズとして302人必要と推計。

Inclusion Criteria―①幽門温存の有無に関わらずPD全て、②18~75歳、③POD1とPOD3のドレーンAMY値が5000U/L未満、④術後3日以内のドレーン排液量が1日300mL未満

Exclusion Criteria―①ランダム化前のインフォームドコンセントの撤回、②人工血管を使用した血管再建、③ランダム化前のgrade B/Cの術後出血、④ランダム化前の明らかな胆汁漏、⑤ランダム化前の予期せぬ合併症(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓、心房細動など)

・開腹、腹腔鏡、ロボットは問わず。膵空腸、胆管空腸、胃空腸吻合の方法やドレーン数なども術者裁量。複数のドレーンの場合、その中で排液AMY値が最も高い物を採用。胆管炎がある場合は術前にドレナージを施行。

・膵液瘻リスクスコア(FRS:膵実質がsoftかどうか0or2、病理で膵癌や膵炎かどうか0or1、膵管径0~4、術中出血量0~3の計10点)で、1~2を低リスク、3~6を中リスク、7~10を高リスクとした。Results:患者692人中、312人がランダム化。156人がEDR群・156人がRDR群。排液AMY値はPOD1で91人、POD3で60人が5000U/Lを越えていた。排液量が300mL/dayを越えていたのは66人。その他、年齢、人工血管再建やインフォームドコンセントの撤回も合わせて、計380人が除外となった。

・患者背景に有意差なし(既往疾患や病理診断、術前胆汁ドレナージ率、術前Alb・Hb値、補助化学療法や放射線療法)

・手術方法(開腹、ラパロ、ロボット、幽門温存、血管再建)、手術時間、出血量、輸血、膵実質、主膵管径、術後病理診断にも有意差はなし。FRSによるリスク評価は、両群で96.8%がPOPFの低~中等度リスクとなった。

・Primary Outcome―EDR・RDR群でCD grade2~4の合併症率に差は無し(20.5% vs 26.3%, P=0.229)。

・Secondary Outcome―grade BのPOPFも差はなく(3.8% vs 6.4%, P=0.305)、grade Cの発生はなし。術後出血、DGE、胆汁漏、乳び腹水、創感染、胆管炎、肺合併症、無症候性の腹腔内液体貯留も有意差なし。RDR群のドレーン留置期間の中央値は11日。EDR群はRDR群より入院期間は有意差を持って短かったが、僅か1日であった(15日vs16日, P=0.010)。総医療費にも有意差はなく、死亡例はなかった。

・単変量解析では、女性、高齢、肥満、出血量、輸血がCD grade2~4の合併症の危険因子であったが、多変量解析後に独立した危険因子は、高齢と輸血のみ。・ラパロおよびロボットなどのMinimally Invasive PD(MIPD)患者は312人中74人登録されており、主な合併症発生率で開腹PD(OPD)との差は無し。MPID患者ではDGEがOPDより少なかった(4.1% vs 10.9%, P=0.048)。MIPD患者の中でのEDR・RDR群の比較では、EDRでgrade Bの膵液瘻が減り(0 vs 17.1%, P=0.009)、術後在院期間も短縮した(13日vs17日, P=0.029)。・除外された380人では、ドレーン留置期間、FRSの値、合併症発生率、が登録された患者より高かった。grade Bの膵液瘻発生率は27.9% vs 5.1%、登録群で認めなかったgrade Cの膵液瘻や死亡率も、除外群ではそれぞれ2.9%、1.6%認めた。術後在院期間も長く(22日vs16日, P=0.031)、総医療費も高かった(P<0.0001)。Discussion:今回の登録基準を満たしていた患者のFRSでのPOPFリスクは96.8%が低~中等度リスクであり、術後の合併症率なども妥当であった。PDにおけるドレーンなしでの管理は、合併症や死亡率が増えたとする報告や減ったとする報告があり、ドレーン管理は患者リスクに応じて調整される必要性が考えられる。同様のPOD1での排液AMY値5000U/L未満の患者における単施設のRCTやコホート研究では、EDR群において膵液瘻・腹部合併症・術後在院日数が少ない事が報告されていた。

本研究では術後在院日数がわずかに短縮していたが、他の合併症やPOPFなどは同等。少なくとも術後出血や腹腔内感染、腹腔内液体貯留などのEDRによって懸念される合併症を増やさなかった。

MIPDが初めてこの種の研究に登録され、OPDより手術部位感染が少なく、grade Bの膵液瘻が少ない結果が得られた。Limitation: 本研究のBMI中央値が23.1であり、ドイツの二施設でのRCTにおける25より低い。PD手術が多いハイボリュームセンターかつエキスパートの手術のみの登録である。中国のみでのRCTである。Conclusion: POPFの低~中等度リスク患者におけるPDで、EDRは安全であると考えられる。EDR群で主要合併症率は少ない傾向があったが、有意ではなかった。私見

F: 多施設での登録、集積が必要ではあるが可能。

I/N:PD後のドレーン管理に関しては単施設・二施設でのRCTで同様の報告はあるが、多施設RCTは初という新規性あり。

E:問題なし。

R:POPFリスクに応じたPD後のドレーン管理の方法として、一つの目安にはなるかもしれない。PD後のドレーン管理における多施設RCTです。結局、EDRとRDRでの合併症率に有意差は無い(P=0.229)ものの、結語では「EDRで少ない傾向がある」としています。もちろんドレーンがある事での患者ストレスはあると思いますが、このデータからはEDRによる恩恵は限定的と考えられるでしょうか。中国では欧米よりは短期入院が迫られるわけではないようですが、在院日数にもそこまで差は出ていません。当院はPDが多くはなく、全く合併症等がなかった患者も膵管外瘻を3週留置し退院としているため、その期間のドレーン管理は不安があったら(排液AMY値の軽度高値や色調変化など)、あまり早期抜去をしていません(もちろん排液AMY値が正常の時はPOD3―4で抜去します)。昨今の流れからは早期抜去や外瘻も置かないなどあるとは思うのですが、Limitationにもあるようにハイボリュームセンターかつエキスパートという点もあり、どの施設(そこまで早期退院に迫られない場合)でも今回の基準値でEDRに進むかはまだ議論が必要と思いました。PDなどはより患者の施設集約がされると考えると、ハイボリュームセンターで早期抜去・早期退院の流れは進むのかもしれないとは感じました。

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