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Journal Club_Pancreas

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Mamoru Miyasaka


Title: 500 Minimally Invasive Robotic Pancreatoduodenectomies: One Decade of Optimizing Performance

Ann Surg. 2021 May 1;273(5):966-972.

Objective:ロボット支援下膵頭十二指腸切除術(RPD)の10年の結果を示し、成功したプログラム(手術トレーニングなど)に関して考察すること。

Background:過去30年間で死亡率が大幅に改善されたにもかかわらず、開腹膵頭十二指腸切除術(OPD)の合併症率は依然として高い。これを改善する手段の1つとして、ロボット支援下低侵襲膵臓手術を行った。

P:Pittsburgh 大学で2008~2017年にRPDを受けた患者の前向きデータベース。

M:Retrospective review

Result:同期間にRPD500例、OPD521例施行。

・手術時間(中央値391分)、開腹移行率(5%)、出血量(平均363cc)、および術後膵臓瘻(7.8%)は、検討期間中の初期に改善し有意に減少。R0は439人(87.8%)。

・膵臓癌229人(45.9%)、うちNAC症例134人(59%)、血管合切13%、いずれも期間中に増加し、Charlson併存疾患スコアの増加に反映される症例選択の基準拡大あり。

・CD2以上の合併症は24%未満、臨床的に関連する術後膵臓瘻は7.8%、30日および90日の死亡率はそれぞれ1.4%および3.1%であり、在院日数中央値は8日。フェローによる手術や、症例選択基準の拡大による結果への影響はなかった。・検討期間中にRPDを行った外科医は9名、3名の指導医が全体の90%(n=450)の執刀医で、残り10%で助手。同3名は同期間にOPDの34%(n=175)を執刀。

・膵空腸吻合は膵管粘膜吻合、Blumgart変法がほとんど。

・2013年からフェロー向けのカリキュラムを導入。VRシミュレーション、生体組織モデルでのトレーニング、ビデオレビュー、術中コーチング、および手術のパフォーマンスと結果の前向き評価など。

・240例で手術時間はプラトーに達し、フェローは検討期間の後半では80%以上の症例に参加。50%以上の症例で、手術中半分以上の切除等を行っていた。

・ほとんどの症例でda Vinci Siを使用。Xiで9例行うも開腹移行率が高く、解像度や応答性の低下が影響しているのではと指摘。

・RPDとOPDの比較で手術時間は延長するものの、合併症率が低いとする報告は徐々にあり。腹腔鏡下PD(LPD)とOPDのRCTでLPDの死亡率高く中止となった試験からも、RPDが低侵襲膵切除の良い選択になるのではないか。Limitation:選択バイアス、high volumeセンターによる成績であること

Conclusion:構造化して行われたRPDで良い結果が得られた(手術トレーニングなど)。RPD最大の報告で、この方法を採用する際のベンチマークとなり得る。私見:単施設かつ10年でPD1000例以上、全症例に3名のHPB expertが入っている事から、成績に対する評価は難しい部分もありますが、RPDのn数が多い報告です。導入やフェローが行う上でのプログラムの重要性を説いてはいますが、具体的な内容はやや簡潔に書かれている印象です。また手術中の50%以上をフェローが切除とは書いていますが、再建がどうだったかは言及されていません。以前にMIPDの膵腸吻合、PFに関する論文があったかと思いますが、RPDでしっかりBlugart変法でやると成績も良いのかな?という印象は受けました。

このような施設でも100例を超えて開腹移行率が減り、240例で手術時間が安定…等々書かれており、RPDを安定して行うには数が必要である事を感じ、RPDにおけるda Vinci Xiの問題点を指摘しているのも興味深かったです。

TAKUTO Yoshida
TAKUTO Yoshida
Aug 19, 2022

RPDはロボットの良さを活かして再建に有用と思っております。ラパロが合併症多くなるのはそこだと思いますし、やはり限界を感じるところでRCT中止となるレベルなのはうなずけます。しかしながらBlumgartに関してはいまいち納得がいきかねます…以前学会でも質問させてもらったのですが、Blumgartこそ締めすぎずジワっと寄せる手の結びの感覚が大事な印象なだけに視覚のみでそこを補わなければならないロボットは不利なイメージでした、なんらかのコツがあれば聞いてみたいものです。PO PFはあっぱれな数字ですよね。そして今回のstudyで注目すべきは、日本でもR PD最前線の各施設が口を揃えて言うラーニングカーブの遅さです。それがもろ数字となって出ており、それを証明したstudyとも取れました。Xiで開腹移行率が高いのはそのせいもあるのではないかと思います。自分も両方使ってオペしたことありますが、Siとはだいぶ操作性が違いますし、なんならXiの方が使いやすいです。そこでまた学び直しが必要なのか…そして今後様々なロボットが出てくるたびに…と考えるとまだまだこのテーマはRPDがよいって単純な結論ではなく難所が多いと考えました。考えさせる論文ご紹介頂きありがとうございました。

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