Surgery Improves Survival After Neoadjuvant Therapy for Borderline and Locally Advanced Pancreatic Cancer
A Single Institution Experience
Ann Surg 2021;273:579–586Objective&BG:
切除可能境界(borderline resectable: BR)膵癌や局所進行(locally advanced: BR)膵癌のどのような症例で術前治療(Neoadjuvant treatment: NAT)が望ましいか、どのような症例で積極的な手術戦略が必要なのかが現在のところ不明である。Study design 1
Ho: NATが施行されたBR-PC, LA-PCで予後に差はない。
P: 2010年-2017年の期間で、カロリンスカ大学病院にてBRPC or LAPCでNAT(chemotherapy + radiation therapy)を受けた患者
※1 ケモレジメン
〜2014年:gemcitabine- or capecitabine-base
2015年〜:FOLFIRINOX
※2 手術適応 NAT中に腫瘍の進行を認めなかったもの
E: BR-PC
C: LA-PC
O: OS
M: Retrospective cohort, single centerStudy design 2
Ho: NATが施行されたBR-PC, LA-PCに置いて手術群と非手術群でOSに差はない。
P: study design 1 と一緒
E: 手術群
C: 非手術群
O: OS
M: Retrospective cohort, single centerResults:
・156名の患者(平均64歳、53%が男性)が解析対象。
・LAPCは132人(85%)、BRPCは22人(14%)、resectable PCは2人(1.3%)であった。
・50人(40.3%)の患者がfull doseのNATを受けた。
・54人(34.6%)にはFOLFIRINOXが投与された。
・切除された患者の全生存期間は、BRPCとLAPCでほぼ同じであった(生存期間中央値15.0カ月 vs 14.5カ月、P =0.4;および31.9カ月対21.8カ月、P 1⁄4 0.7、それぞれ)。
・手術群の患者は、非手術群の患者よりも生存率が高く、NATの種類や全量投与の有無にかかわらず、生存率が高かった(生存期間中央値:22.4カ月 vs12.7カ月、1年、3年、5年生存率:それぞれ86.4%、38.9%、26.9% vs 52.2%、1.5%、0%(P < 0001))。術前のすべてのCA 19-9の値において、外科的切除は生存率にプラスの影響を与えた。Conclusion:
BR-PC/LA-PCでかつNATの期間中に病性の進行が見られなかった症例では、NATのレジメンや投与量によらず、手術を検討すべきである。Ca19-9高値だけでは手術の絶対的非適応とすべきではない。私見
Annals of Surgery 2021年3月号です。これまでUnresectableとされたLA-PCがNAT後の手術をすることで非手術群に比較しOSの改善が見られたという論文です。Abstractが言葉足らずなのと、多変量解析の結果が文章だけで読みにくかったですが、ケモの反応性で生物学的悪性度を測り、R0切除ができれば例えUR膵癌であっても手術を検討しましょうという内容です。一般的にCa19-9高値は諸々の予後予測因子とするものが多いですが、本研究ではあまり予後との関連はなかったとしています。どのタイミングで測定されたか記載がありませんが、NATの前後での変化を見るのも良いかと思いました。(Ca19-9がケモで減少する郡では、化学療法のみでも十分予後の延長効果があるとすると刷る論文も過去に少し触れています。