Takuto Yoshida
Drain Management Following Distal Pancreatectomy
Characterization of Contemporary Practice and Impact of Early Removal
Annals of Surgery Volume 272, Number 6, December 2020 Ho: DP患者において、ドレーンの早期抜去(<POD3)とそれ以外の群でアウトカムに差はない。
P: 2014-2017年にACS-NSQIPに登録されてりDP患者(N=4708)
E: 早期抜去群;POD<3でドレーン抜去(N=716)
C: 後期抜去;POD>3でドレーン抜去 or ドレーンなし
O: clinically relevant postoperative pancreatic fistula(CR-POPF) = GradeB以上の膵液漏
M: Retrospective cohort studyResults:
・早期抜去群はコントロール群に比較して死亡または重篤な合併症(DSM)、CR-POPF、DGE、経皮的ドレナージ、入院期間、再入院において良好な成績
・多変量解析で
早期抜去は、ドレーン留置なしと比較して、DSM(OR = 0.41、95%CI = 0.26-0.65)およびCR-POPF(OR = 0.33、95%CI = 0.18-0.61)の発症オッズが低下
後期抜去は、ドレーン留置なしと比較して、CR-POPF(OR = 2.15、95%CI = 1.27-3.61)の発症オッズが上昇
・傾向スコアマッチングでは、早期抜去はCR-POPFのオッズの低下と関連していた(OR = 0.35、95%CI = 0.17-0.73)私見 Annals of Surgery 2020年12月号です。 ドレーンの論文は、ドレーン非留置でもアウトカムに差はないとする論文が多い印象ですが、この論文ではドレーンなしでも後期抜去でもなく、早期抜去が良いする結論でした。気になった点は患者背景の比較では早期抜去群では術後1日目のドレーンアミラーゼは有意に低く、またCR-POPFのリスク因子の多変量解析でも術後1日目のドレーンアミラーゼが残っている点です。個人的にはPOD<3でドレーンを抜くことと術後の良好な経過の相関は示せても、その因果までは言えてないのではと思います。つまり、どちらが卵でどちらがひよこかわからないと思います。ただし、これは誰もがそう思うでしょうし、筆者らも明確に言及していませんがその点も当然承知の上で、術後1日目のドレーンアミラーゼ<2000(こちらは既報で膵液漏のリスクが低くなる因子だそう)であれば、自信を持ってPOD3でドレーンを抜去できるのでは、としており、以下のプロトコールを提言しています。こちらは非常に理にかなっていると思います。
=以下、本文の和訳= 1)術中にドレーンを留置する 2)POD1にDFA値を取得する(DFA: postoperative day 1 drain amylase) 3)DFA-1<2000の場合、DFA値の上昇やその他の有害な臨床指標がない限り、その日に追加のDFAチェックを行った後、POD3に抜去を目標とする 4)DFA-1>2000の場合、注意を払い、POD3以降の時点でアミラーゼの追加測定、ドレーンの排出液の解釈、患者の全体的な臨床状態などの追加的な手段を利用する。