Takuto Yoshida
Histopathologic Predictors of Survival and Recurrence in Resected Ampullary Adenocarcinoma. International Multicenter Cohort Study
Annals of Surgery Volume 272, Number 6, December 2020 BG: 十二指腸乳頭部癌(AAC)は予後良好とされるも、これまでの報告では5年生存率は30-70%と幅のある値であった。原因として、消化管由来のものと膵管由来のものが混在しているためと考えられる。Objectives: 十二指腸乳頭部癌の予後予測因子となりうる組織病理学的特徴を調査Ho: 十二指腸乳頭部癌の病理学的特徴で予後に差はない。
P: 2006.2-2017.12の期間にAACに対し膵切除を受けた患者(N=887)
E&C: intestinal type, pancreaticobiliary type, mixed type
O: OS, DFS(1, 3, 5, 10 year)
M: Retrospective cohort, multicenterResults
・OSの中央値は64カ月で、1年、3年、5年、10年のOS率はそれぞれ89%、63%、52%、37%であった。
・KM曲線では、サブタイプ、分化度、Ly, Pn, T因子, N因子の層別化でOSおよびDFSに有意差が見られた。
・N+(HR=3.30 [2.09-5.21]), Pn+(HR=1.50 [1.01-2.23]), 補助化学療法あり(HR=0.69 [0.48-0.97])はOSの独立予測因子であった。
・N+(HR=2.65 [1.65-4.27])はDFSの独立予測因子であった。
・サブグループ解析にてpancreaticobiliary typeにおいては、補助化学療法は独立したOSの予後予測因子であったが、intestinal typeではそのような傾向は見られなかった。私見
Annals of Surgery 2020年12月号です。ヨーロッパからの報告です。
不勉強から十二指腸乳頭部癌の由来として消化管由来なのか膵管由来なのかというのをあまり気にしたことがありませんでした。膵管由来のものの特徴として予後は悪いものの補助化学療法の恩恵を受けられるとされ、筆者らは、本文のconclusionには今回の研究からN+, Pn+, pancreaticobiliary typeのものでは補助化学療法を検討すると主張しています。(Abstractのconclusionには載っていません。今回の多変量解析の結果からは、腫瘍のサブタイプも調整されているので、補助化学療法の適応をpancreaticobiliary typeに限定できるのか疑問です。)Back groungdからObjectiveまで、一貫して組織型で分類して予後を調べるといった話の流れになっていますが、なぜかTable1は補助化学療法あり vs なしで患者背景の検討がなされていた点が気になりました。とはいえ、乳頭部癌の研究でNが多いものはあまりないように思うので、重要な報告だと思いました。