Takuto Yoshida
Main Duct Dilatation Is the Best Predictor of High-grade Dysplasia or Invasion in Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms of the Pancreas
Ann Surg 2020;272:1118 – 1124 Objective: IPMNの異形成の悪性度を予測する術前因子を明らかにすること。BG: 術前因子の検討がこれまでもなされてきたが、どのような患者で最も切除の恩恵を受けるかは以前議論が続いている。Ho: 異形成の程度の違いによる患者背景に差はない。
P: 2004年~2017年の間にカロリンスカ大学およびJohns Hopkins Hospitalにて、手術検体で組織学的にIPMNの診断で膵切除を受けた901人
E&C: さまざまな患者背景因子
O: IPMNの異形度
M: retrospective cohort(と書いていますがcase contorolでは?)Results:
・主膵管(MPD)拡張は、異形成の悪性度(定義はhigh-dysplasiaまたはinvasive)の増加と有意に関連する独立した予測因子であった。
・MPDの拡張度が5-9.9mmの中距離(n=286)でも、High grade dysplasia(HG)-IPMN(OR 2.74; 95% CI 1.80-4.16)およびinvasive IPMN(OR 4.42; 95% CI 2.55-7.66)の確率の上昇と関連していた。
・MPDの拡張度が10mm以上(n=150)では、HG-IPMN(OR=6.57;95%CI=3.94〜10.98)およびinvasive IPMN(OR=15.07;95%CI=8.21〜27.65)のオッズがさらに高かった。
・MPDの直径が5〜7mmのカットオフ値が、悪性病変と良性病変を識別するための最良の予測因子であると判断された。私見
Annals of Surgery 2020年12月号です。
今回MPDがHG-IPMNの最も強い独立したリスク因子で、MPD5-9.9mm(=worrisome feature)もHG-IPMNのriskという結論でした。
そもそも論として、自分の理解では、IPMNの手術適応に関しては、まだまだ過大侵襲な部分があるというか、本来良性であったとか、手術する必要がなかったが、現在の画像診断ベースのcriteriaでは手術適応になる症例があるという点が問題で、さまざまな議論がなされ、本当に手術による恩恵を受けられる症例をいかに選別していくかが大切なのかなと思っていました。ので、今回の結論は、あまりその点に関しては説得力はないのかなと思いました。なお、high risk stigmataやworrisome featureに当たる所見に関しても解析されていますが、HG-IPMNとLG-IPMNではworrisome featureの一つである30mmを超える嚢胞径に関しては、有意差は認められなかったようです。この辺りは、データが蓄積されて行けばガイドラインが変わりうるのかもしれません