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Journal Club_Pancreas

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Umemoto


Morphologic Factors Predict Pain Relief Following Pancreatic Head Resection in Chronic Pancreatitis Description of the Chronic Pancreatitis Pain Relief (CPPR) Score

Annals of Surgery. 273(4):800-805, April 2021.Bachmann, Kai; Melling, Nathaniel; Groteluschen, Rainer; Fleischauer, Anne; Reeh, Matthias; Ghadban, Tarik; Bockhorn, Max; Izbicki, Jakob R.

Department of General, Visceral and Thoracic Surgery, University Medical Center Hamburg-Eppendorf, Martinistraße, Hamburg, Germany.Background

慢性膵炎による慢性疼痛はQOL低下の重要な因子である。膵頭部腫大がある患者においては、単純な膵管ドレナージ手術(Prtington手術など)だけでは除痛効果は不十分で、膵頭部切除を要する。ここ30年ほどで十二指腸温存膵頭部切除術(DPPHR)が普及し比較的安全に施行できる様になっており、PDと比べても長期成績に差はないとされる。(※ここで言うDPPHRは日本の膵癌規約のDPPHRではなく、Frey/Beger/Hamburg手術のことのようです。)

今日においては、内視鏡的・保存的治療が奏功しなくなった場合に手術適応となることが多いが、どのような患者が良い適応かは議論の余地がある。Objectives

慢性膵炎に対する手術治療においてどのような患者が手術の恩恵(特に除痛)を受けられるか、臨床病理学的所見を解析する。P: 1993−2015に著者の施設で待機手術を受けた慢性膵炎患者連続1156例。

E/I: DPPHR (Beger, Frey, Hamburg, or Berne procedure)

C: 非寛解群(疼痛寛解群との比較)

O: 寛解率、寛解予測スコアの作成

M: 単施設後ろ向きResults

151人がBeger, 227人がFrey, 93人がBerne, 675人がHamburg手術を受けた。術後在院日数は21±16.8日。合併症率は25.4%。フォローアップ期間は8.8±5.7年。

疼痛改善率は79.8%。ロジスティック回帰分析で疼痛改善を認める因子は①炎症性腫瘍が4cm以上、②主膵管径4mm以上、③重度石灰化、④重度繊維化、⑤アルコール誘発性慢性膵炎であった。各因子のオッズ比は2.2~3.4だが、シンプルに5つの因子を1点ずつの加点方式でChronic Pancreatitis Pain Relief (CPPR) Scoreを作成した。CPPR scoreで術後の寛解率を予測できた (AUC 0.887)。私見

2021年4月号から、慢性膵炎に対する手術成績に関する報告です。Hamburg手術のHamburg大学からのビッグデータの解析です。解釈に注意が必要なのは日本でよく言われるDPPHRと術式理解が異なる点です(少なくとも僕はそうでした)。膵管全体をcoring-outで膵頭部までくりぬき、Hamburg手術では膵内胆管までRoux en Yで再建します。

個人的には、慢性膵炎に対する手術患者はPertingtonまでしか経験がありませんが、全体で9年80%の疼痛寛解という成績、および内視鏡治療からの解放は患者にとっても大きな利点と思います。CPPR scoreで疼痛改善が良く予測できると言う結果から、逆に手術をうけても改善が望めない患者を選択できることは、術式や合併症が多い手術であるという観点からも、score自体は非常に有用と思います。

limitationにもありますが、喫煙・アルコールを背景とした疾患のため他疾患の合併が多いことや、術後の耐糖能異常、外分泌機能不全もそれなりに多くあります。日本人を治療対象として考える場合には、人種差も考慮する必要があると思います。また、DPPHR4つの術式の適応(使い分け)に関しては明確な記載はありませんでした。Historical controlとして観察期間後半の患者にHamburg手術が多い様ですが、基本的には似た術式です。

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