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メンタリングとコーチングとスーパーバイズ⁉︎

Sambunjakらは論文の中で、「メンタリングは、個人の成長、キャリア指導、キャリア選択、研究の生産性(論文の出版や研究費獲得を含む)に重要な影響を与える」(JAMA, 2006)としている。メンタリングは、メンティーの自発的な行動や成長を促すことを目的とする、基本1対1の総合的支援策でる。


メンターは、メンティー個人の仕事上の目標達成を後押しする。これに対して、スーパーバイザーの一時的な目的は、機関や部門の目標達成を推進することであり、特にはメンティー個人の成長や育成という目標と反することもあるかもしれない。個人目標と組織目標が一致すれば、スーパーバイザーがメンターの役割を果たすこともあるが、整合性が乏しい時も多いだろう。


 一般的に「メンターの役割」としては…

  1. メンティーへの指導

  2. メンティーへのアドバイス

  3. メンティーの技能取得支援

  4. メンティー自身の目標達成のためであり、メンターの目標追求のためであってはならない


コーチングは、個人が実現したい明確な目標達成に向けて必要な知識やスキルを、効率的に習得できるよう支援するものである。メンタリングは、自己開発の観点からより広い可能性を視野に行なう活動とも理解できる。場合によってはメンタリングに、コーチングの要素が含まれる時があるかもしれない。


研究に例えると…

リサーチクエッションの判断において、経験に勝るものはない。若い研究者に必要なのは、経験豊富で、研究への関心と時間的余裕を持つメンターを見つけ、その指導のもとで研究を行なうことである。研究によっては複数のメンターが必要となることもある。


優れたメンターは、議論や指導の労をいとわず、若い研究者の独創性や独立性を尊重し、自分の経験をわかちあい、研究時間や研究費申請の機会をできるだけ保証してくれる者かもしれない。必要があれば、他の適切な研究者を紹介し、研究費の申請者や論文の著書に可能な限り若い研究者を加える配慮を惜しまない者のことである。


優れたメンターは、若い研究者の研究成果を取り上げたりはしないし、メンティーとの時間を確保する努力を惜しまないはずである。

メンターによっては、データや課題をただ与えるだけの者もいるかもしれない。自分の興味や研究の実行可能性を考えて、時には他の研究プロジェクトに変えてもらうよう働きかけることも必要である。


(参考)

  1. Sambunjak et al. Mentoring in Academic MedicineA Systematic Review. JAMA 2006

  2. 聖路加国際大学臨床疫学センター. 臨床研究におけるメンタリング メンターのためのガイドブック. A Handbook for Mentors in Japan. Mentoring in Clinical Research.

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