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Thromboelastogram(TEG) ⑧ TEGに関する論文紹介

前置きがとても長くなったが、ようやくここからTEG/ROTEMに関する論文を紹介します。今回は主にAnnals of Surgery, Surgery, JAMA Surgeryに掲載されてきたTEGの論文を紹介しようと思います。多くの論文を読むことで、TEGの性質も見えてきました。



①周術期血栓症

ICU入室患者の血栓症

術後Surgical ICUに入室しTEGを測定した患者を対象とした米国の単施設研究

Hypercoagulable state (TEG G(clot strength)>12.4)とNormal coagulable state(TEG G 5.3-12.4)の2群で血栓イベントを評価

Surgery 2099; 146: 764-74.


・患者背景のばらつきはあり、さまざまな交絡が存在するが、Hypercoagulable state群で血栓イベントが多い。

・ICU入室期間、人工呼吸器装着期間、入院期間は血栓イベントがあると有意に長い


・既報のDVT screeningとの比較がない。


調べた限りでは、上記の外科のcore clinical journalの中で初めて出てきた論文でした。


② 外傷

外傷領域におけるTEG/ROTEMのSystematic Review

Da Luz et al. Critical Care 2014, 18: 518

・55の研究を対象(38: prospective, 15: retrospective)

・凝固障害の早期診断に有用とする報告が多数

・massive transfusionの有無やmortalityとの関連が報告されているが、routine testとの比較は報告によりまちまち

⇨外傷領域での有用性は今ひとつといった印象。


ITACTIC

Baksaas-Aasen K, et al. Intensive Care Med. 2021 Jan;47(1):49-59.

・ヨーロッパの多施設共同研究

P: Massive hemorrhage protocol(MHP)を受けた外傷患者(N=396)

I : TEG/ROTEMガイドのMHPを受けた群

C: 従来の血液検査ガイドのMHPを受けた群

O: 生存率、死亡率

CCT: conventional coagulation test, VHA: viscoelastic haemostatic assay

・TEGの使用は生存率やMHPの改善には寄与しなかった。

・初回の検査の段階でVHA群はMHP介入が開始されている割合が高く、より鋭敏に凝固異常を検知している。


ヨーロッパからは大量出血患者に対する止血戦略に関する論文が数多く報告されているように思います。読んでおくべき論文の一ついった印象を受けます。


出血に対する反応の男女差

Pommerening MJ, Holcomb JB, Cotton BA, et al. Surgery. 2014 Aug;156(2):439-47. PMID: 24953269.

Study Design US, level 1 trauma center, 多施設共同研究

P: Level 1 trauma centerに搬送された成人外傷患者(N=795)

E: 女性(閉経前と閉経後で層別化)

C: age-matched male

O: TEGの結果

・交絡因子調整後も、男性は女性の4倍出血のリスクがある。

・共著者のDr. Holcombはmassive transfusionの1:1:1を提唱した権威。


妊婦は凝固亢進し出血に備えているのは学生時代に産婦人科の講義で習った記憶がありますが、女性はそもそも出血に対し男性よりも強く体が作られているのかもしれません。

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