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執筆者の写真TAKUTO Yoshida

Thromboelastogram(TEG) ③ cell-based model

更新日:2022年4月9日


では、生体内ではどのような反応が起こっているのか?2001年にThrombosis and Haemostasisに発表されたcell-based modelで、より詳細に生体内での反応を説明している。複雑な病態生理が絡み、説明に多くの記事を要するため詳細は割愛するが、主には下記の凝固反応が生体内で進行している。NOACには第Ⅱ因子を直接阻害する薬剤があるが、下記を見れば活性型第Ⅱ因子=トロンビンがいかに重要な役割を果たしているかがわかる。


① Initiation

血管内皮細胞に傷がつくと、内皮下に存在する組織因子提示細胞と血液が接触し、活性型第7因子と組織因子が複合隊を形成する。この複合体は第10因子を活性化させトロンビン産生に至る。このトロンビンはまだ少量ではあるが、この後に続く凝固反応で重要な役割を果たす。

② Amplification

活性化した血小板の膜表面にGP2b/3aが発現し、フィブリノゲンを介して凝集し一次血栓を作る。その付近にはTF-7a複合体によるトロンビンが存在し、このトロンビンが血小板の活性化を増幅し、同時に第Ⅴ, Ⅷ, Ⅺを活性化させる。

③ Propagation

第11因子は第9因子を活性化し、内因系活性経路に従って、第9因子は8因子と複合体を形成して第10因子を活性化する。Ⅹ因子はⅤ因子と複合体を作り、血小板膜上でトロンビンを産生する。1分子の第Ⅺ因子は結果的に12万分の大量のトロンビンを生じ、このトロンビンがフィブリノゲンをフィブリンに変させる。


凝固カスケードとは凝固因子の作用する順番が違うことは一目瞭然である。実際には、この後第13因子の作用もありフィブリン網が形成されることになるが、これも血餅の強度として止血に重要な因子の一つである。さらに、この後はα2-PIなどにより制御されながらプラスミンによるフィブリンの分解(=線溶)が進行することになる。


参考文献

Hoffman M, Monroe DM 3rd. A cell-based model of hemostasis. Thromb Haemost. 2001 Jun;85(6):958-65. PMID: 11434702.


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